緊張したり不安なときに出てくる手汗。
しかし緊張していなくても不安に感じていなくても勝手に出てくるという場合もあります。
手のひらから異常に発汗することを手掌多汗症と呼び、青年期の患者の割合が多いとされています。
手汗をかいていると、触っている物を濡らしてしまったり、普段の生活にも支障をきたしてしまいます。
そんな手汗ですが、具体的にはどのような理由で発汗してしまうのでしょうか?
いわゆる「汗っかき」の体質とは明らかに異なります。気温や体温に関係なく、大量の汗が出るのは手のひらにほぼ限られており、体のほかの部分に多汗の様子が見られないからです。日本では、約200人に1人の割合で発症する疾患です。発症に男女の差はなく、10代〜30代に多い傾向があります。
目次
手汗が出る理由と原因
実際に汗に詳しい皮膚科医に確認したところ、手のひらの発汗(手掌多汗症)の理由ははっきりと分かっていないとのことでした。
一般的に手汗が出る原因は大きく分けて4つに分けられます。
ストレスや不安、緊張による発汗
精神的要因による多汗症です。
ホルモンバランスの乱れによる発汗
ホルモンバランスが乱れることによる発汗です。
とくに女性は生理や妊娠、更年期の関係でホルモンバランスが乱れやすくなります。
食生活の乱れによる発汗
辛いものや熱いものを過剰に食べると味覚性多汗症になります。
タバコに含まれるニコチン、コーヒーに含まれるカフェインなども摂りすぎれば多汗症状が出ます。
病気による発汗
循環器や中枢神経の病気、または代謝異常や内分泌異常によって発汗します。
糖尿病、結核、甲状腺機能亢進症(バセドー病)、急性リウマチ、末端肥大症などが挙げられます。
手のひらの発汗は手掌多汗症?
必ずしも手のひらから発汗すれば多汗症か?といわれるとそうではありません。
手汗の量によってレベルが分けられています。
- 手汗レベル1・・・手のひらが濡れるくらいの発汗
- 手汗レベル2・・・手のひらを握ると汗の滴が落ちるくらいの発汗
- 手汗レベル3・・・手のひらを開いた状態で汗の滴が落ちるくらいの発汗
これらに該当しないのであれば、基本的に普段の生活に支障をきたすことはないはずです。
手掌多汗症の症状としてあげられる例がこちら。
- 気温に関係なく手汗が出る
- 緊張すると手汗が増えて気になる
- 手汗でスマートフォンやキーボードの操作がしにくい
- ノートや答案用紙が手汗でにじんだり、シワシワになる
- 手汗で手をつなぐことや握手ができない
- 手汗が気になって物が触りにくい
- ハンドタオルがすぐビショビショになる
- 手のひらの皮がふやけやすい
- 手にあせもができやすい
もし心当たりがあるようであれば多汗症を疑ったほうがいいでしょう。
手掌多汗症の治療方法は?
手掌多汗症の治療方法には以下のようになっています。
アルミニウム・ローション
手汗のていどが軽い症状であれば、アルミニウムローションを使った治療がすすめられます。
アルミニウム溶液は汗腺を塞いでくれるので、出てきそうな汗をあるていど抑えることができます。
ただし効果の持続期間は短めです。
イオントフォレーシス
イオントフォレーシスとは、水道水の入った容器の中に、汗が気になる部位を浸して電流を流すという治療方法です。
10~20mAの直流電流を流すことで発生する水素イオンが汗の出口を障害して汗を出にくくしてくれます。
8~12回ていどで効果を実感でき、その後は定期的な治療が必要です。
ボツリヌス注射
ボツリヌス注射は交感神経から発汗の指令をだすアセチルコリン分泌を抑制する治療方法です。
割と実感速度は早めで、1週間ほどで効果が出て6ヶ月ほど持続します。
筋力の低下や注射による副作用があるので保険適用外の治療となっています。
プロ・バンサイン内服薬
プロ・バンサイン内服薬は多汗症に対してゆいいつ保険の適応のあるお薬です。
抗コリン作用でアセチルコリンの働きを抑えてくれます。
起床時に服用して発汗を抑制するのですが、喉が渇く副作用があります。
外科手術(多汗症内視鏡手術)
手掌多汗症の症状を根本的に解消する治療方法です。
脇の下に3mm程度の小さな穴を開けて、そこから胸腔鏡という内視鏡を入れ、手につながる交感神経の一部だけを切断します。(※利き手だけ受けることも可能)
ほぼ100%の効果がありますが、まれに再発したり、副作用として他の部位の汗が増える代償性発汗が起こるリスクがあります。
手汗対策はずばり交感神経を活発にさせないこと
手汗の多汗症を緩和させるためには、自律神経である交感神経を活発にさせないことが大切です。
- 規則正しい生活をする
- ストレスを溜め込まない
- リラックスする
- 深呼吸をする
緊張が予測できる場合は、事前に心と体の準備をしておくとストレスも軽減されます。
まずはこれらのような交感神経を活発にさせてしまう要因を減らしてみましょう。
まとめ
手汗が出る理由や原因について紹介してきました。
手汗を抑えるには自律神経(交感神経)を過剰反応させないことが肝となります。
しかし、それらを行ってもなかなか変わらないという場合は、手にも使えるデオドラントを使用したり、病院で受診されることをおすすめします。